整形外科で脊柱管狭窄症といわれてしまいました。[76歳・女性]
「今もふくらはぎが痛くて歩くと辛いです」と足を引きずりながら当院へいらした患者様。
整形外科でレントゲンとMRI検査で脊柱管狭窄症(1)(せきちゅうかんきょうさくしょう)と診断、いずれ手術といわれてしまいお顔が暗い印象でした。
セカンドオピニオンで当院にいらしたのでしょうか。
整形外科での診断は聞かなかったことにしてもう一度最初から問診を。
「どのようなお辛さでしょうか?」
「しばらく歩いていると、右足の痺れと足の奥が突っ張るような痛みで歩けなくなります。
でもしばらく休むと回復して歩けるようになります」ここまでを伺うと間欠性歩行(かんけつせいほこう)で脊柱管狭窄症を疑います。
さらに続けて、「痛い方の足がすごく冷えます」とおっしゃいました。
もしかして‼
「足の付け根、鼠径部(そけいぶ)の脈をとらせてください。」
脈の左右差は無いが、痛いとおっしゃる足がとても冷たいし、肌色の感じも違い白っぽい。
これはASO(2)の疑いもあるかも。
ということで、『入浴後の左右の足の色の違いを確認してみてください』とお伝えしました。
すると次回、『しびれの強い右足の色が白っぽかった』との事で、ASO(閉塞性動脈硬化症)である可能性もあると考え循環器医科をお勧めしました。当院では下肢の鍼灸マッサージを施し、医科では動脈硬化症の処置をし改善に向かっています。
(1)脊柱管狭窄症とは・・・
主な特徴として下肢の神経痛や、腰やお尻の痛み、そして間欠性歩行(歩行で疼痛や脱力が起こり歩行困難となるが、前屈みで休息をとると症状が和らぐ)が挙げられます。
加齢などによって脊髄(せきずい)をとおす管の周辺の骨が変形したり、軟部組織が肥厚することで脊髄神経が圧迫され
発症するといわれています。
(2)ASOは閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)の略です。
閉塞性動脈硬化症は動脈硬化により、四肢、特に下肢の血管が狭くなったり詰まったりすることで血液の流れが悪くなり、さまざまな障害があらわれる病気です。その症状とは
・手足が冷たい、しびれる
・しばらく歩くと、ふくらはぎなどに痛みが現れて、休まなくては歩けない
・じっとしていても手足に痛みがある
等です。
この事例は整形外科が誤診をしたのではなく、腰と足の症状を訴えMRIで腰部脊柱の精査をすると高い確率で脊髄の狭窄症状が見つかるというわけです。前出の間欠性歩行という症状のみでいうと脊柱管狭窄症とASOの症状は似ていますが、手足の冷感や安静時の特にふくらはぎの痛みなどの症状も加わるとASOの疑いが強まります。その点は注意深く観察することが重要だと思いました。
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