1. この痛みはなんですか?
階段の上り下りが痛い、朝の歩き出しが痛い、久しぶりのゴルフで膝に熱感が出てズキズキ痛む…
など様々な症状の患者様が毎日いらっしゃいます。これらの症状は大きく大別すると、 以下の三種類の原因、また複合的に①~③が絡み合っての痛みが考えられます。
①骨性の痛み
②筋性の痛み
③神経性の痛みまず
①はシルバー層の方々が病院で
「膝の骨が変形しています!」
「軟骨がすり減っています!」
「棘が出ています!」
などいわれる【変形性膝関節症】という病名がつくものです。この【変形】とは何でしょうか?これは膝関節を支えている靭帯が膝の骨から少しずつ剥がれ、 その隙間をカルシウムが修復し埋めたところをレントゲンで見た状態です。 だから三角形(トゲ=骨棘)に見えるのです(図1)。 この棘が神経に当たったり、周りの組織を圧迫したりして痛みを出していると思われます。
②は残念ながらレントゲンには映りません。無理なウォーキングやスポーツなどで足を酷使したことが原因の膝関節の痛みです。膝関節は、関節自体の噛み合わせがない特徴的な関節ですが、正座をしたり伸ばしたり、 ぐるぐる回したりといった、意外と複雑な【滑り込み】という動きができるのは、 靭帯や筋肉依存で噛み合っている関節だからなのです(図2)。
つまり、膝関節の動きに関係する筋肉群、特に太腿の上側の筋(大腿四頭筋群)の緊張によって この滑り込みがうまくいかず痛みになるのです。また、太腿内側の筋群(内転筋群)の 緊張により、膝の内側が痛いなどの症例の患者様も多くいらっしゃいます【鵞足炎(がそくえん)】。
腰から足にかけて後ろ側は坐骨神経、前内外側は大腿神経が支配しています。 腰の痛みなどから下肢の神経痛まで発症させると、 膝の痛みがますます敏感に感じ③になります。膝の痛みをかばいながら歩いたりすると、同時に腰痛発症される方も多いようです。
どう治すのですか?
実はアスリートやスポーツ少年などが発症する半月板損傷、アンハピネス(半月板、内側側副靭帯、前十字靭帯損傷)やオスグット病なども多い症例です。程度により医師とともにリハビリを進めていきますが、大事なことはほとんどの膝の痛みは熱感を伴います。 しかし膝は温めるものと勘違いしてしまい(※明日は雨だから痛い!などの③の痛みは 温めが有効)、こじらすことが多く見受けられます。
また熱感に伴って火を消すため、体は防衛本能で関節内に水を溜めます。 内圧が高まりズキズキ痛むため水を抜くわけですが、慢性的に熱感を維持してしまい 関節破壊がより進み、いずれは人工関節になってしまいます。そうならないようにしたいものです。
施術例
筋肉ほぐし(マッサージ)→ 冷やす(アイシング)
→ 水が溜まっていれば(圧迫)→ 安静を保つ(固定)
→ 東洋医学的アプローチ(鍼灸など)や筋肉トレーニングで再発防止
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